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能な食料安全保障を実現するための基本条件である」と強調されています。同会議で採択された文書には、「人口増加を抑制し、最終的に安定させるための最善のシナリオは、意志決定を行う権利を女性に与えることであり、これに関連して重要となる第一歩は彼女たちの教育、リプロダクティブ・ライツ、そしてあらゆる面においてリプロダクティブ・ヘルスケアを利用できるようにすることである」と述べられています。
同会議へ参加した各国国会議員は、農村の食料生産者、特に女性に土地と水を含む生産資源への平等な利用と所有権を与える法律を制定することを誓いました。それと同時に、彼らは水が国家の開発計画に絶対必要な要素であることを認識しており、本会議のテーマもここにあります。
国連が行った最新の世界の淡水資源に関する調査結果は悲観的なものです。主に水の不適切な配分、無駄な利用、不適切な管理の結果として、世界各地で地域的に量質の両面で「水」問題が多発しているという明確かつ説得力のある証拠が存在します。言い換えると、量と質の両面での水資源の利用可能な量の減少と質の低下によって生命が依存している基盤が弱体化しているのです。
国連によれば、今世紀に入って水の使用量は人口の倍の速度で増加しており、すでに慢性的な水不足に陥っている地域がいくつかあります。現在、世界人口の約3分の1が中度から重度の水不足の状況にある国に住んでおり、不足の原因の一つは人口増大や人間の活動の拡大による需要の増加に起因しています。2025年までには、世界人口の3分の2が逼迫した状況に追いやられると言われています。
水不足と公害が深刻な公衆衛生の問題を生みだしており、経済や農業の発展を妨げ、広い範囲にわたって生態系の破壊を引き起こしています。そうした水不足は地球の食料供給を制約し、不安定なものとし、世界の多くの地域において経済の停滞を招く恐れがあります。
迅速な対応が取られない限り、水資源の問題はさらに悪化すると考えられます。この要因の一つには、現在57億人で、2025年には83億人に達しようとしている世界人口の規模の拡大があります。また、この人口増加の大半が、急速な成長を続ける発展途上国の都市部で発生し、アジアにはそのような都市が数多く存在します。それらの都市の多くがすでに深刻な水不足と圧倒的な貧困を経験しています。今から20年以内に、世界10大都市のうちの6都市を、ボンベイ、上海、ジャカルタ、カラチ、北京、ダッカといったアジアの都市が占めるようになり、これらの都市はいずれも1,800万人以上の人口を抱えることになります。
より持続的な水利用を実現するため、あらゆるレベルの立案を行う場合にその担当者が水の問題を理解し、それぞれの開発計画の中心に据える必要があります。女性は、水と食料を提供し、家族の健康を守り、森林、土壌、水資源の管理と保護を行っています。質と量の両面から水を管理するには、この女性の役割を認識し、健康、社会、

 

 

 

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